また内側からじわりじわりと痛み出した。身体が悲鳴をあげているのだ。 枕元では桃太郎が丸くなって眠っている。起こさないように、呻く声を殺す。 もうそろそろ、本当に駄目かも知れない。痛みが海の波のように襲ってくる。 まだ生きたい。桃太郎がピスピスと鼻息をたてた。 真木へ薬と水を持って来るようテレパシーで伝える。 時間つぶしに、間抜け面で眠る桃太郎の鼻をくすぐってやる。眠ったままくしゃみをした。 それに小さく笑っていると真木が静かに部屋に入ってきた。 少佐、大丈夫ですか。潜められた真木の声は低く耳に優しく響いた。 薬を飲み終えるとバスローブの合わせを直されて、そのままベッドに寝かしつけられた。 おやすみなさい、少佐。おやすみ、真木。 真木が入ってきた時と同じように音もなく部屋から出ていくのを見送って目を閉じた。 痛みは未だ波になって押し寄せてくる。まだ生きたい。 寝返りをうって身体を丸めた。桃太郎の安らかな寝息が聞こえる。 まだ生きていたい。



『波』
08/11/24