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昼食後の補習授業。は組の教室の扉を開けると、そこにはいつもの騒がしさはどこにもなく、誰も居ない。 無意識に瞬きを数回して、辺りを見回す。隠れているわけでもない。ということは、授業のボイコットか。 頭が真っ暗になりかけた時、外からキャイキャイと騒ぐ声が聞こえた。窓から見下ろすと校庭で元気に鬼ごっこをしているは組が居た。 「あー、せんせいだぁ」 しんべヱがこちらに手を振った。 きり丸がその横で、やっべえ見つかった!と慌てている。 乱太郎が急に立ち止まったきり丸の背中に突っ込み、 驚いた金吾が後ろに仰け反って喜三太にぶつかってなめくじ壺をひっくり返し、 庄左エ門と伊助が顔を青くして立ち尽くして、団蔵と虎若が今さら隠れようとし、 兵太夫と三次郎がもう終わりかあと不満げに口を尖らせた。 「コラー!今すぐ戻ってこぉーい!!」 はーい、と元気良く返事をしてから急いで校舎の中に戻ってくる姿を見送ってから、ため息をついた。 良かった、ボイコットじゃなくて。 廊下から、どいせんせーごめんなさーい、という声が聞こえてきた。 何だか安心して、叱ってやろうと思っていたのに不覚にも笑ってしまった。 『だれもいない』 08/11/30 |