約束の夕方になって子守のアルバイトが終わり、凝った肩を解しながら土井先生の家への道を歩いている途中。 夜店が準備をしているのを見つけた。目の前の店はどうやら焼き餅のお店らしい。 前を通った親子連れが、来ようね、後で来ようね、絶対ね、と楽しそうに話している。 腹が鳴って、店を振り返りながら家へ帰る。

アルバイトの報告のついでに夜店のことを話すと、土井先生は、作ったばかりの薄いお粥が入った鍋を混ぜる手を止めた。 夜店へ行こう、今日はそこで夕飯にしよう。でももう作っちゃいましたよ。明日食べればいいじゃないか。

楽しそうに草鞋の紐を結ぶ背中を呆気にとられて見ていると、結び終わった土井先生が振り返った。 ほら、早く、ぐずぐずしてると終わってしまうぞ。

「せんせい、子供みたい」

「うるさい」

手を繋いで2人一緒に家を出た。



『夜店』
08/11/30