孫兵が泣いている。草の間に踞り、 作ったばかりの小さな墓の前で手をあわせて、子どものようにわあわあ泣いている。 きっと明日は、目が腫れて声も掠れているだろう。

ごめんよ、蟻美。

俺は今お前が一年生に踏まれて死んでしまったことがとても寂しく悲しいのだが。
それよりも、そう、それよりも。

「孫兵、そろそろ泣きやめよ。そんなに泣くと、体中の水がでてカラッカラになってしまうぞ」

孫兵はさらに泣いてしまいながら首を横に振った。
今は泣き止めない、ということか。 または、どれだけ泣いてもカラッカラにはならない、という意味か。
どちらだろうなぁ、なんて無理矢理考えながら込み上げてくるものを飲み込む。

「なぁ、孫兵」

孫兵の泣き声が頭の中にまで響く。

「頼むから。泣きやんでくれよ」

もうしばらくは泣き続けるだろう小さな背中。

ごめんな、蟻美。
お前が死んだことよりも、孫兵が泣くことの方が、俺にはもっとずっと辛いんだ。

俺はなんて奴だろう。
思わず泣きたくなった。嗚呼もう、くそ、本当に、( あああ! )



『やめてよ』
09/2/2