新入りが間抜け面をさらしながら眠るソファ。
その手にしっかりと抱かれている、あの人愛用ボードのレプリカ。
どんな夢を見ているんだか、涎を垂らしてニヤニヤしている。正直、気持ちが悪い。
でも別に、寝顔があんまりにも気持ち悪かったから…というわけでは、ないんだ。
そんな顔をしてボードに頬ずりしだしたからでもない。
だってあれはレプリカだから。
彼愛用の、本物ではないし。もし、仮にこれが彼の物だったとしても。 俺がいつも、ずっと昔から触りたいと思ってきたボード、彼の、あの人のボードだったとしても。
オレには関係なくて、ここで不愉快な気持ちになったり、悲しくなったりまして悔しい気持ちになるなんてことは、 だってそんな、だって、おれは、あの人は、こいつは、だって――おれが、

『こんなものはいっそ壊して、そうだ、元に戻せないように、ブッ壊して、しまって!』

だってそうすれば!!



力が抜けて、鼻から声が漏れた。
通りかかった誰かに、どうかした?面白いことでもあった?、と声をかけられた。

「うん、ちょっと。こいつの寝顔が、あんまりにひでぇから」

( そんなこと出来るわけないし、おれにそんな権利はないし、 ただあの人を好きなだけなのにって、自分が嫌になって、つい、 )

笑っちゃっただけなんだ。



『クラッシュ!』
09/6/19