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座って、構えて、深呼吸を一つ。衝撃を待つ。 風が顔に当たった瞬間、ガコッだかボコッだがそんな音がして、気が付けばマスク越しに空が見えた。 よろよろと座り直す。駆けつけたメンバーが心配そうに、大丈夫か、と聞いてくる。 ああ、この優しさがあいつにちょっとでもあったなら。期待はしていない。 マスクを被り直してまた構える。可笑しいくらい腕が震えた。 それが見えているのか、18.44m先でニヤリと笑った。 震える手を必死に固定して、深呼吸を一つ。衝撃。 投げられた白球は、狙ってやってるんじゃないだろうかと疑いたくなる程、 綺麗に鳩尾に入り、無様にも思いきり噎せた。 堪えていた涙がツッと流れる。砂が目に入る。最悪だ。 その最悪の視界でとらえる18.44m先はまた意地悪く笑っていて、あぁ、本当最低。このドS野郎が。 「おお、今日もきったねー身体してんな」 「誰のせいだと思ってるんですか」 「何それ、俺のせいってか」 「うーわ、この人キョトン顔してるよ」 チッと舌打ちを一回。向こうも舌打ちを一回。 そんなお互いに、さらに舌打ちをもう一回。 「気づいてないようだから言っとくけどな」 「は?」 「お前、球ぶつかるといつも口元笑ってンだぞ」 瞬きを一回。 「そんでちゃんとキャッチ出来っと何かどっか、つまんなそーな顔してんの」 さらにもう一回。 「ドMか」 ……あれ? 『お互い様だよね』 どっか似たもの同士。 書きたかったものと全然違うものになってしまって、どうにかしようと長い間眠らせていたんだけど、どれだけ悩んでも書き直しても、書きたいものにならないので、諦めた。 納得いかないんだけどどうしようもない。むしろ最初書きたかったものがもう思い出せない。あれー。 |