「ドギー兄さん、女の子だったら良かったのに」

「なんで」

「もし女の子だったら凄く可愛い子になりそう」

「えー」

「それに、男よりは女の子の方がむいてると思うんですよね」

「それ悪口なの褒め言葉なのどっちなの」

「いやいや、俺本気で言ってるんです」

「本気ならなおさら悪いってことにはやく気が付いてくんない?」

「男は2人の女性を同時に愛すことが出来るんですって」

「えー」

「だから兄さんが女の子だったら、俺多分好きになってたと思うんですよね」

「男で良がったぁ、っていま心の底から本気で思った」

「うわ、酷いなぁ。何でですか」

「うんあのさ酷いのは自分だってことにはやく気が付いてくんない?」

「俺、幸せにする自信ありますよ」

「オレ、不幸になる自信あるわ」

「酷いなぁ」

「だから酷いのはオレじゃなくてお前なんだけど」

「将来的に凄くいいと思いますよ」

「なにが、っていうか、どこが」

「老けてもハゲないというところが」

「はい?」

「だって、ホランドとか結構、生え際辺りが後退してるじゃないですか」

「それすごく問題発言じゃねぇの」

「ホランドが格好良いのなんて今だけですよ今だけ」

「えー」

「大人になったらホランドなんかより格好良くなってます。っていうか、なります」

「えー」

「だから俺のこと好きでいた方がずっとずっといいですよ」

「わけわかんねぇ」

「俺のこと今のうちに好きになってください」

「なんで」

「ホランドなんか好きでいたって、ずっとずっと、損だけしかしないです」

「…………」

「何か言ってください」

「おめ、バカじゃねえの」

「知ってます」

「お前はエウレカのことだけ考えてろよ」

「俺、ドギー兄さんのこと好きですよ」

「オレあんまりお前のこと好きじゃない」

「酷いなぁ」

「バカは嫌いだ」

「酷いなぁ」

「お前のことなんかこれから先もずっと好きになんねぇもん」

「酷いなぁ」

「ホランドはハゲになっても、カッコイイんだよ」



もし女の子だったら

もしそうだったら、あのエウレカと同じくらい、同じように、同じだけ
たくさんの愛で包んであげるのに
悲しい顔をしないですむように、暖かいものだけを見せてあげるのに

嗚呼、本当に、

「ドギー兄さん、女の子だったら良かったのに」




『these are the wounds of Love』
好きな人をこの手で守れると思っていた、青い春。