淡いレモン色をした産毛がうなじにそろりと生えているのが見える。
縮れ毛ほどではないものの、くせ毛なのか、所々がクルリと巻いている。 よく見ないと目立たない産毛も、小さな束になって、クルリと巻いていた。
いつもは帽子に隠れているが、陽に当たるとこの産毛は、まるで命が宿ったかのように、金色に輝く。

その美しく頼りない産毛をそっと撫でる。柔らかい。 指に巻き付けるようにして絡ませると、石鹸の香りが漂った。

「ドギー」

返事はなかった。耳をすますと横に眠る少年の規則正しい小さな寝息が聞こえた。 声が届かないほど深く眠っているようだ。
産毛を手のひら全体で撫でる。すると、くすぐったいのか、 身体をよじらせて手から逃げた。少し遠くなった少年の首筋を追いかけてまた撫でる。

耳の後ろに先程つけた痣が赤々と存在を主張しているのを見つけた。 暗い部屋に1つだけ灯してあるフロアランプの鈍い光の中でもそれははっきりと見ることが出来る。 フロアランプの光が混ざっていまはオレンジに見える髪。細い首。耳の後ろの、赤い痣。 身体を屈めて生え際に吸い付く。

「ん……、っ」

少年の口から声が漏れた。
顔を覗き込むと、眉を寄せていて、いまにも目を覚ましそうだった。そして、

「――ホランド…?」

答えずに、新しくつけたばかりのキスマークと産毛をベロリと舐めた。




『きみの白いくび』
行為前か行為後。