『タルホに出会う前に、お前と出会っていたら』

そう言って唇を重ねられた。彼の唇はいつも通り優しくて、そして温かかった。




「こちらカタパルト管制室。現在、606がターンテーブル上にいます。 606より、発令所へ偵察任務のための、カタパルトの開放を要請します」

ブラックの中にオレンジの光が踊るカタパルト管制室のスクリーンを見あげていた。
耳につけているイヤホンからはコクピットに居るホランドたちの声が聞こえてくる。


椅子の背もたれに背中を預けて、腕で両目を隠した。

彼は、ゲッコーステイトを解散すると言った。

彼の指に、細く歪な指輪が光っていた。


イヤホンだけは耳につけたまま、マイクをOFFにした。
イヤホンから聞こえてくる彼の声を聞いていたかった。


「リーダー」

ここには居ない人を呼ぶ。

「リーダー」


ホランド。お願いだから、ねえホランド。

( オレのこと、置いて行かんで―― )


いまはただ、 寂しさ しかみえなかった。




『世界を美しく彩っていた音色が止んだ』
タルホを選んだホランド。置いていかれるのが恐いドギ。