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All thet's nice -素敵ななにもかも- What are little boys made of ? ( 男の子ってなにでできてるの? ) What are little boys made of ? ( 男の子ってなにでできてるの? ) Frofs and snails And puppy-dog's tails, ( カエル・カタツムリ・それから子犬のしっぽ。 ) hat's what little boys are made of. ( そんなこんなでできているの。 ) What are little girls made of ? ( 女の子ってなにでできてるの? ) What are little girls made of ? ( 女の子ってなにでできてるの? ) Sugar and spice And all that's nice, ( お砂糖・スパイス・それから素敵ななにもかも。 ) That's what little girls are made of. ( そんなこんなでできているの。 ) MOTHER GOOSE 「なんで男の子はカエルとカタツムリと子犬のしっぽでできてるの?」 「んー、何でかなあ」 穏やかな風が吹く心地良い午後。 昼ご飯を終えて一息ついている時、ヒルダは子供達の相手をしていた。 子供達の母親であるエウレカはレントンと共にニルヴァーシュの飛行テスト中。 いつも賑やかな子供達も、本を読んでもらう時だけはじっと静かにしている。 「スパイスってなに?」 「香辛料のことよ」 「こうしんりょーってなに?」 「料理の味付けに使うの」 リンクとメーテルがヒルダの顔を覗き込んで順番に質問をしていく。 ヒルダは嫌な顔一つせず、とても優しい顔で答えていた。 ムーンドギーはやることがなく、ただぼんやりとソファーに座っていた。 いつも一緒にいるギジェットはコクピットで仕事をしている。 遊び相手が、いない。 いつも慌ただしいのに。こうも暇なのは珍しいのに。 いざ暇となるとどうすれば良いのかわからない。 ギジェットさえ居れば、彼女が次々に面白い遊びを考えてくれるのに。 ソファーに座りながら、子供達とヒルダの会話に耳を傾けていた。 「僕は、カエルとカタツムリと小犬のしっぽでできてないよ」 モーリスが真顔でヒルダに言う。 ヒルダは、まるでお母さんのような笑顔で、首を傾げてみせた。 「じゃあモーリスは何でできてるの?」 ヒルダの質問に、モーリスは少しの間沈黙して考えた。 そして、 「僕は、ママとリンクとメーテルと、大好きなおやつでできてるんだ」 モーリスの返答にヒルダは、うんうん、と頷く。 「そっか。モーリスはすごく素敵なものでできているのね」 ヒルダにそう言われ、モーリスは嬉しそうに俯いた。 割り込むようにメーテルが、ハイハイ!と手をあげる。 「私はねっ、ママとモーリスとリンクと、大好きなシチューでできてるの」 「うわあ、メーテルもとっても素敵なものでできてるのねぇ」 「僕はねぇ、ママと、みんなと、ふかふかのベッドでできてる!」 「そうだね、リンクはふかふかのお布団が大好きだもんね」 本当の親子のような会話が平穏を主張しているようで微笑ましい。 自分がなにでできているか。 そんなことは今まで一度として考えたことがなかった。 ムーンドギーは横に倒れるようにしてソファーに寝そべった。 ( 例えば、今日食べたパンとか、朝起きてすぐした歯磨きとか……? ) それは少し、違う、かな。 ( お父さんとお母さんが居て、んで、生まれて、だから、 ) ……お父さんとお母さんでできてる? …………そりゃそうだ。 考えることはとにかく苦手だ。 いつだって、途中でこんがらがってしまうから。 どうにもならないもどかしさが胸にのしかかる。 ソファーの上に寝転がりながら泳ぐようにバタバタと足を動かした。 ふと思う。 あの人は、なにでできてるのだろう。 毎日飲んでるコーヒー。 お気に入りの、オレンジのトランクス。 大好きなリフをするためのボード。 あの人を思い出させる物が、頭に浮かぶ。 あの人は素敵で格好良いから、きっと素敵で格好良いものでできているのだ。 少しわかった。 自分がなにでできているか。 大好きなリフと大事なボードと、あの人を好きだと思う気持ち。 そんなこんなで、できているんだ。 『あの人を好きだと思う気持ち』 自分で考えついたくせに、やけに恥ずかしくなった。 「素敵なものでできてるって、幸せね」 メーテルがフフっと笑いながらヒルダに言う。 ヒルダも、そうだねぇ、と相づちをうった。 素敵なものでできてる幸せ。 あの人を好きだと思う気持ち。 ああ、オレって幸せなんだ。 ギジェットの声が耳に届いた。 「ドギー、どこに居るのぉー。仕事終わったから遊ぼぉーよー」 起きあがり、ギジェットに向けて手を振る。 「気づかなかった、そんな所に居たんだ」 ギジェットが嬉しそうに駆け寄って来る。 ムーンドギーの隣りに座ると、首を横にパタリと倒した。 「あれ? どうしてドギーの顔、真っ赤なの?」 ガバっと両手で顔を隠した。 「え? なんで隠しちゃうの? ねぇ、なんで?」 素敵なものでできてる幸せ。 あの人を好きだと思う気持ち。 すごく恥ずかしくて、すごく嬉しくて、すごくくすぐったい。 ( ……ちょっと分かった。 ) 好きだという気持ちは、恥ずかしさと嬉しさと、くすぐったさでできている。 END ほんとこれ恥ずかしい……。 |