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いつものように小平太がどこからか持ってきた酒をいつものようにいつもの面子で飲んでいた、いつも通りの夜のこと。 いつものようにまず留三郎と文次郎が小競り合いの後に飲み比べを始め早々に潰れ、酔った仙蔵がけらけらと笑い出し、 僕も呂律がまわらなくなり、長次の顔と耳が赤くなり少し喋る声が大きくなって、 楽しくなって気分が上がった小平太が部屋を側転で、時に高速前転で回り始める。至って毎度の光景だった。 おい、いさ、いーさ、いーさーくー。文次郎と同時に潰れたはずの留三郎が、俯せのまま、手をひらひらさせて僕を呼んだ。 何だい、留さん。舌を頑張って動かして返事をする。だらしなく座った状態のまま床を滑って留三郎のもとまで行く。 文次郎がむにゃむにゃ言っている横で、留三郎は顔を起こして僕を見た。いーさー、いーさーぁ。留さん涎たれてるよ。 うへへ、拭いてくれー。むにゃむにゃむにゃむにゃ。文次郎もう寝なよ。いさー!分かった分かった。俺なぁ、お前と寝る。 もう寝るの?。うん、寝る。むにゃむにゃむにゃむにゃ。文次郎もう寝な。いさーぁ。 留さんまた涎たれたよ、酔うと本当口緩くなるよね。うるせー涎ごと俺を愛せよ! 愛してるよぅ、だって僕留さんの涎ならなめられるもの!よだれ?。うん。なめんの涎?何でぇ?。 だって留さんのこと大好きだもん。ほんとにー!本当にー!じゃあ俺もなめるー!本当に!?ほんとにー!わぁい、なめてなめてー! と、ここまできて我に返った。うん?おかしいぞ。周りを見渡せば、まず文次郎がむにゃむにゃ言いながら寝潰れていて、 それを見て仙蔵が楽しそうにけらけら笑っている横で、長次は赤鬼のような顔で酒をどんどん飲み干している周りを、 小平太がほぼ裸の恰好でぐるぐる回っている。いつもと同じ、なのに違う。のは、何だ? 伊作ぅ。留三郎が僕を呼んだ。伊作、伊作?いーさーくー。ああ、そっか酔ってるんだなぁ、僕も留さんも。 うるさく僕の名前を繰り返す留さんの口をべろりと舐めて塞いだ。あ、あっ、俺、俺もっ、俺もする。 僕にしがみついてくる留さんの身体はいつもよりずっと熱く、留さんの舌の熱さを僕は今日初めて知った。 頭の隅は冷静だったがそれでも頭の大部分は立派に酒におかされているようなので。( よし。 )このまま流されてしまおう。 『酔った勢い』 どんちゃん騒ぎの後。 |