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ふわりと自分の知っている匂いがして、立ち止まる。 「あれ、何かつけてる?」 自分の前を歩く背中は、いんや何も〜?と予想通りの間延びした返事を寄越した。 「なんだろ」 「俺のセクシーフェロモンだろ」 「それはない」 鼻をすんすん鳴らすと、前の谷口も気になりだしたようで同じように周囲の匂いを嗅ぎ出し、 終いにはすわ自分の体臭かと腕やら脇やらを嗅ぎ始めて、廊下を歩く他の生徒の目線をチクチク感じ始めてきた時。 「ん、あ、これじゃね?」 ぬっと手の甲を鼻のすぐ先に近づけてきた。 「ちょっと、汚い手いきなり近づけるのやめてくれる」 「ばばばばばかやろう汚かねえよ!傷つくからやめろ!」 確かにさっき感じた匂いがする。あ、これって。 「あいつのだ。古泉のハンドクリーム。さっき会った時に手がぶつかってさ。そん時ついたんだ」 「古泉の……?」 「おう。え、臭いか?」 「あ、ううん、そうじゃない。それ、流行ってるのかなって」 確か…… 「キョンからも同じ匂いがするから」 「キョンからぁ? ああ、あいつ、部室でこっそり盗み食いならぬ盗み使いしてんじゃねーの」 そんなことするの谷口だけだよ、とてきとーに返しながらまた廊下を歩き出す。 ( あー……。うん。 ) 怖い考えに至ってしまいそうになので、それ以上考える事を止めた。 『手先の予感』 エウレカセブンの頃にホラ×ドギで書いたやつのリメイク。あのふたりは何かの度に手を繋いでる印象です。やっと国木田くんを書けた。 |