「おれはもう、お前を好きじゃない」

日付が変わってゲッコーステイトの全員でクラッカーを鳴らした時に、 隣に立つ人が、クラッカーの音でキンとしている耳にやっと届くような小さな声で呟いた。
おれはもうお前を好きじゃない。間違えないように、頭の中で繰り返す。
周りの人たちがこちらを見ていないのをちゃんと確認してから、横へ目を向けた。

「おれは」

真剣な目だった。

「お前を」

真剣な声だった。

「オレも、好きじゃない。あんたを、ホランドを、あいしてます」

真剣な、言葉だった。

みんながお酒をあけて騒ぎ始めた。横に立つ人の首筋がほんのり赤くなっていく。

「……先に言うなよ、馬鹿野郎」

いまの言葉をまた間違えないように頭の中で繰り返す。笑いが漏れた。

「笑うな」

「だって。 ……オレ、ずっと口にはしなかっただけで、もうずっと、そう思ってたよ。好きじゃないって。言わなかっただけ」

「…………。」

「うん?」

オレの横に立つ人が顔をくしゃっとさせて笑った。そして、指先を繋ぐ。

「ドギー、愛してるぞ」

「愛してっかんな、ホランド」

正月早々、愛の言葉で訛るな、と頭をはたかれた。
今年もきっといい年になる。多分いまこの人も、同じことを思った。



『変わらずそこに愛がある』

2010年 元旦 なんでもない日・ヤマネより愛と感謝をめいっぱい込めて。

お正月の期間限定フリー配布品です。
アニメ放送終了・映画公開終了後もホランドとムーンドギーを愛する皆様に捧げます。
お持ち帰りの報告は任意ですが、一言頂ければとても嬉しいです。