「お前は自分が、何を失ったのか分かっているのか」

また分からなければいけないことが増えた、と思った。
相変わらずの寝不足で重い目を押さえながら振り返ると、 肩を怒らせこちらに鋭い目つきを向ける仙蔵が居た。

「答えろ」

「……睡眠時間、か?」

「阿呆!」

いつも病的に青白い頬が、今は怒りで朱に染まっている。

「俺には、分からん」

仙蔵は一度口を結び、息を深く吸い込んでから言った。

「お前、まだ、私が好きか」

「好きだ」

間髪入れず答えた俺を睨み、苦しげに顔を歪める。

「大馬鹿者」

吐き捨てるようにそう言葉を吐いて、仙蔵はどこかへ行ってしまった。
追いかけなければ、いけなかった、のか。
寝不足で頭がうまく働かないうちは、まともに考えられそうにない。



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