髪を切った次の日の朝。
起きあがってすぐ、頭が軽いことに驚いた。そして気が付く。髪を切ったのだ。
寝惚け眼の伊作が薄く開けた目で俺の頭を見て、それから、これ以上ないほど目を見開いた。

「……え、なにそれ、嘘、え、え……え?」

邪魔になった。だから切った。
それだけ告げて足早に食堂へ向かうと、まず小平太が俺を見つけた。

「え、あれえ、うわ。どうしたの、髪の毛ないじゃん!」

「髪の毛はある。切っただけだ」

「どうして。長くて綺麗だったのに」

周りの目線が集まってしまい、黙々と食事をする長次の陰に隠れるように座る。
長次は黙ったまま、俺の背中を静かに撫でた。

朝食を終えて食堂を出ると、仙蔵が壁にもたれ掛かってこちらを見ていた。
すれ違い様に呟かれた。私のせいか。振り返った時にはもう仙蔵は居なかった。

あいつには会わなかった。



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